着付師の地位向上を願う〜2018年度の成人式の着付けを終えて改めて思ったこと〜
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今年2018年の成人式の着付けが終わりました。私の出身教室である大久保朝子師匠のお教室としては300人弱の成人の皆さんのお着付けが終わりました。(個人としては8人くらいかな??あとは二人着付けで誰かの着付けのサポートで人数はカウントができないくらい・・・。)
私は1997年に東京のとあるカルチャーセンターで会社帰りに自装を学び、当会発起人バニーとのご縁があって1999年からは大久保朝子先生のところで一緒に他装を学び、着付師として育てていただきました。
先生のアシスタントとしてお仕事にご一緒させていただいた当初は、先生の振袖の帯結びは魔法のように見えたものです。
先生の着付けと創作結びが特に素晴らしいのは
- 結びやすく、見た目が華やかで、ただの変わり結び(奇抜な結び)でないところ。そして、実際に外出しても着崩れる心配が決してないところ(これ、かなり重要でしょう。逆に、ありえない結び方が紹介されている雑誌・書籍を頻繁に目にします)。
- 着物や帯の柄、帯の長さや着る方の雰囲気にあわせて結び方が十人十色の美しさ
- 着付けは苦しいどころか、着せてもらった方が気持ちがよい
という着姿と着心地の両方を兼ね備えていること(指の手術をされ実際に目にできる機会が減ってしまったのが本当に残念。。。)。
習い始めた当初は自分や誰かが結んだ結びを先生が最後にちょこちょこっと手をいれるだけで出来上がりが見事に変わり、いろんな意味のため息ばかりついていました(笑)。
また、先生は絵もお上手で、芸術面に長けていることはこうした一種の美容業界では必須だな、と今もつくづく思います。。。
さて、近頃特につくづく思っていたこと、そして成人式の着付けが終わってご一緒した他の着付師の方々と語り合った内容を、ここに共有したいと思います。将来の着付師の地位向上の願いを年始に込めて。
着物は日本の民族衣装で、着付けは必須のものであるはずなのに、着付師の地位は一般的には高く見てもらえません。手に職のある仕事、伝統工芸品を作る人たちの価値も日本ではなかなか高い市場評価を得られていないというのは本当に悲しいことです。
地位の低さは雇用問題にも発展します。悲しいことに着物を専門に扱う大手着付学院や着付関係の企業・団体によっては着付師を守るどころか着物が好きであることを逆手にでもとるかのようにアシスタントは無給(勉強するうちは無給でよいとしても、交通費もどんなに遠方であっても全額自己負担はキツイです・・・)、着付師は何人着付けても時給あるいは日給(つまり着せ付ける人数は多くても、どんなに着付けの腕が良くなっても、収入は増えない/一人一人に対する着付け、1つ1つが芸術作品という感覚がゼロ・・・)というのが今の世ではまかり通っています。ほか、呉服店では着物を買っていただくのがメインですから着付けは無料サービスをすることも。まさにフリーミアムなビジネススタイル(たしかに着物を買っていただくことも難しい現代。しかし、それでも着付けの価値まで下げないで欲しい・・・)。同様に最近はレンタル着物や写真館での無料着付けサービスも増えていて、レンタル料や写真のアルバム料などで稼ぐ仕組みがあるので、着付けは無料サービスと宣伝されてしまいます。
また、ヘアやメイクが専門の方々も成人式直前に学校でならった知識や直前の集中レッスンだけで、日ごろ着付けをしていないほぼ素人の方々が当日の着付けをしてしまう美容室も割と多くあります。着付師がプロの仕事、専門職であるという印象が定着しきれない要因の1つでもある気がしています。ビジネスなので否定すべきことではないのですけれど、着付師の地位向上を思うと切なくなります。
ほか、簡易着付けできる洋服のような着物もレンタルや写真館用などのために考案されるようになりました。これ自体は良い点もあり、決して悪いことではないのですが、正統派といえるような手結びの着付けの機会は減少しています。
こうした状況ですので、プロの着付師として食べていきたい腕の良い人たちがこの仕事だけで生活をたてることは体力的にも収入的にもかなり厳しく、後輩たちも希望を見いだせず、。日本の伝統工芸の世界と同じでしょうか。。。
ひとたび雑誌やTVなどで認められる着物関係のお仕事に携わるまでになれば良いのだと思いますが、一般人はなかなかそうはいきません。
こうした問題は公立学校の先生、保育士、介護士の方々に関するニュースとして耳にする現象とも似ていますよね。医師や病院も、腕のよいアシスタントがいてこそ良い治療やサービスを提供できるものだと思うのですが、医師なりの計り知れない専門知識や素人には知る由もない心身の負担もあると思いますが、それでも看護師やアシスタントと医師の給与収入平均の格差を見ると、もう少しアシスタントに対する価値を給与でも評価してあげてくれない?と思ってしまいます。
着付けの世界もアシスタントの腕が良いと着付師は着付け自体に集中することができます。アシスタントは確かに初めのうちは自分の着付けの勉強のためになるので無給でも喜んでついてゆきますが、ずっとそのままでは生活がたちゆきません。ベテランのアシスタントと駆け出しのアシスタントが同じ市場価値であるはずもありません。
着せ付け(他装)を習い始めると、すぐに着物まで着付けたくなる人もいると思いますが、やはり下積みは大切で、補正をきれいにできなければ最終的に着付けは上手くいきません。帯揚げ帯締めの仕上げも重要です。着付師が安心して着付けに集中するためには優秀なアシスタントが必要なのです。師匠も常々「優秀なアシスタントがいれば着付けは綺麗に早くできる」「まずは優秀なアシスタントになりなさい」と言っていました。着付師も着付けアシスタントも専門職です。検定試験が最近できましたが、さらに国家資格にでもなれば地位や給与収入は向上するのでしょうか。教師の地位などを見てもそれだけでは難しい気もしますね。。。
師匠は私が習い始めた当初から「技術は安売りするな」とも言っておられました。そういうところも尊敬していました。本当の駆け出しのころでさえ交通費をくださり、すぐに謝礼までくださるような先生で、こんな師匠の人柄と腕で、着付けの仕事も門下生も年々増え、私が師匠お手伝いするころは小さな写真スタジオや美容室のお客様のお着付で生徒数名で成人式当日半日20名くらいの着付けだったのが、20年近くたった今は2会場で半日で約300名ほどを着付けるまでに・・・。(個人の自宅でやっている小さな1教室でこれほどの規模の着付けを請け負えるところは早々ないのでは。。。師匠、本当にすごすぎです。)
しかし着付師の地位向上は師匠だけが門下生のために頑張っても改善されないこと。呉服業界も厳しい時代。ここはひとつ、ぜひとも、いまメディアなどで認められている社会的にお力のある方々のご尽力で、着付師の価値が上がる世になりますように。
いくらAIが発達しても、一人一人の体型に合わせた補正、着物や帯の柄やサイズ、モデルの個性にあわせた着付けはできないはず!
着付けも1つ1つ、お一人お一人が芸術作品です!
2020年の東京オリンピックが1つの契機になるといいなぁ。。。
みなさん、着物は日本が誇る、我が国の民族衣装ですよぉ〜! これを着付るプロの着付師のことをどうぞお忘れなくぅ〜!
以上。
と、コラムの最後のメッセージがかなり他力本願なのは非常に情けないところではありますが、現場の声(悲鳴)として皆さまと共有しつつ、今年も着物や和に関連する活動を色々とスタートしてゆきたいと思います。
なお、以上はあくまで主宰者個人のコラムです。当会自体はあくまで趣味として集まる社会人サークルであり、当会の活動目的は「着物や着付け、友人との交流などを楽しむこと!」です。宜しくご了承ください(笑)。
さぁ、今年は当会はなんと、設立15周年を迎えます!楽しい企画でメンバーのみんなとお祝いできたらと思っています。規模は大きくはできないと思いますがなるべく多くのこれまで参加してくださった皆さんと一緒に、15周年をお祝いできればと思います。
2018年の年始最初のお稽古&茶話会は1月27日(土)10:30-12:30。12:30-15:00は新年持ち寄りランチ会です。みなさんのご参加お待ちしています♪
キモノさーくる華会
hanakai@hotmail.com
(written by oto 2018/01/09)
【2018年1月以降のお稽古や活動のご案内】
1.華会のお稽古&茶話会@大田区下丸子は1月27日(土)の10:30−12:30です(その後持ち寄りランチde新年会)
〜インドア/ゆっくり・まったりがお好みの方にオススメ?!
お申込み・お問合せはemailで: hanakai@hotmail.com
- 参加の方には必ず受付メールを差し上げます。こちらから3日以内に返信がない場合は、お手数ですが再度ご連絡ください。パソコンメールが受信できるメール連絡先をお知らせください(迷惑メール設定をご確認ください)
<茶話会&お稽古/女性のみ>
- 開催日時: 2018年1月27日(土)の10:30-12:30 /12:30-15:00 持ち寄りランチde新年会予定/予算約1000円程度でみんなでシェア
- 次回は2月24日(土)開催予定 その後、染めの町落合へ行くかも
- 参加費:一回 2000円 (茶話会のお茶とお菓子、「自分で着る」または「人に着付ける」のプチレッスン費を含みます)※2016年から華会ポイントカード発行中(6回通うと7回目の参加費無料、または好みサイズがあえば着物・帯との交換も可)。
- 参加対象:女性のみ(着付けの経験は問いません)。男性の方はお問い合わせください。
- ご参考:過去参加者は初心者から初級レベル。10代から60代くらい。
- お茶を飲みながら、半襟つけをしていたり、着付けの復習&着姿のレベルアップを目指す!なんていう方も大歓迎です♪
- 場所: 講師自宅 @東京都大田区下丸子(最寄り駅:東急多摩川線 武蔵新田駅 徒歩8分/健脚でしたら川崎市のJR南武線平間駅 徒歩17分)
- 定員: 5名(先着申し込み順)
お申込み・お問い合わせ: hanakai@hotmail.com
ご自身の希望日にあわせたお稽古をご希望の方はプライベートレッスン@神奈川県藤沢市鵠沼海岸またはご自宅か手配先の会場〈詳細はこのリンクをクリック〉をあわせてご検討ください。
3.山石先生のお稽古(自装)@四ツ谷駅徒歩5分
昨年ゲスト講師として華会のお稽古をサポートくださった山石先生が四ツ谷駅から徒歩5分という便利な場所でお稽古を開催されることになりました。平日・土日・祝日の午前または午後で1回2時間1000円です。詳細のお問い合わせ・お申込みは以下まで直接お願いいたします。
山石文子先生 090-4029-7273 / y_saita@kub.biglobe.ne.jp
<華会主宰イベント>
- 2月24日は1時半ころお稽古場を出発して「染めの小道」落合・中井のイベントへ行くかも。
- 2018年は15周年なので、何か計画したい
<外部イベント・展示会など>
- 銀座松屋の8階では1月15日まで草乃しずかさんの刺繍展
- 2017年12月13日(水)〜2018年1月8日(月・祝)引き継がれる美意識「池田重子 横浜スタイル展」昔きもの〜現代KIMONO ※一部展示替えあり
- 2018年5月2日(火)〜6日(日)東京キモノショー2018@日本橋三井ホール
<コラム>
【お知らせ】
- 2018年度以降も茅ケ崎にて上級着付師を募集しています。ご興味ある方はこちらをご覧ください。
<サイトマップ>
華会きつけ教室 参加者累計約800人
華会出張きせつけ/コーディネート
サークルの活動暦(過去に開催したイベントの履歴) 参加者累計約1100名
全国の着付け教室等が検索できるサイト(ご参考)
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今後も活動状況につきましては、随時、当Webサイトおよび華会参加者(希望・依頼のあった方のみ登録)のメーリングリスト、ツイッターでお知らせいたします。引き続き皆様のご理解・ご協力をお願いいたします。
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当問題点は徐々に何らかの形で解消していきたいと思っています。。しばしご容赦ください。